■日本の不妊カップル10組に1組以上 排卵や子宮内の異常などが原因
日本では結婚生活2年以上で妊娠しない場合を「不妊症」と呼ぶことになっています。ちなみにアメリカでは、結婚生活1年で赤ちゃんができない場合としています。実際に、結婚後1年以内に80~90%のカップルは妊娠しますので、1年のほうが現実的でしょう。
日本での不妊カップルは、10組に1組以上とされています。女性側の原因には、体質や高齢のためうまく排卵できないケース、クラミジアなどの性感染症や子宮内膜症という病気が引き金となり、卵管閉塞などが起こって卵子がうまく卵管に取り込めないケース、抗精子抗体(精子に対する異常な免疫)があるため子宮に精子が進入しにくいケース、子宮内膜が不良で着床できないケース―などがあります。
■女性の生殖能力、年齢とともに低下 若年層の精子異常も増加傾向
若年女性では、妊娠中絶を繰り返して子宮内膜が傷ついたことによる不妊もありますが、最も懸念されるのは、無防備な性交渉による性感染症のまん延で卵管異常が増え、不妊症予備軍が著しく増加していると考えられることです。一方、最近では晩婚化により年齢的に妊娠のチャンスを逃す女性も増加しており、加齢による生殖能力の低下は重大な問題です。女性の生殖能力は35歳ごろから徐々に低下し、40歳を超えると極めて厳しい状態になるからです。
男性側の原因は主に精子の異常(精子数、運動能力異常、形態不良など)です。男性は女性より年齢による生殖能力の低下は緩やかですが、逆に若年なのに精子が不良の方も増えています。
■カップルで検査、3割が原因不明 年齢や希望に応じた適切な治療を
検査は、女性は基礎体温(排卵の有無)のチェック、子宮卵管造影検査(卵管の通過性のチェック)、ヒューナ検査(精子の子宮内進入チェック)、超音波検査・尿中LH検査(排卵時期の推定)、血液検査(ホルモン状態や抗精子抗体)、男性は精液検査、血中ホルモン検査等、そして夫婦ともに感染症検査等をすることになります。
原因を調べても約30%のカップルは原因不明です。問題点が見つかる場合では、その約3分の1は女性側に、3分の1は男性側に、3分の1は双方に不妊原因が見つかります。これらの検査結果や夫婦の年齢、将来の希望などを考慮しつつ治療を開始し、必要に応じてステップアップ(投薬、人工授精、体外受精など)していくことになります。
2014-05-28 18:59:53
コラム