不妊治療で最も強力な治療である体外受精において、総治療あたり(※)の妊娠率は、女性の年齢22歳で30.0%、30歳で26.6%、35歳で24.1%、40歳で12.5%、43歳で4.9%、45歳で1.8%です。
年齢とともに妊娠率が徐々に低下していますが、35歳からは著しく、40歳を超えると体外受精でさえ厳しくなります。
実際に出産に至る確率(出生率)は、年齢別にそれぞれ20.0%、17.4%、15.4%、6.1%、1.9%、0.5%しかありません。
(※採卵した人および採卵にいたる前に反応不良で断念した人を分母にして算出。解凍融解胚移植分は含まず。日本産婦人科学会集計=2007年)
■受精卵の異常が原因
高齢になると卵巣機能低下による受精卵の異常(染色体異常など)が増えて、妊娠しても多くが流産するためです。
つまり40歳では体外受精でも妊娠するのは12.5%で、そのうちのおよそ半数は流産するので実際の出生率はわずか6.1%しかなく、さらに45歳では出生率0.5%(200回で2回)と、ほぼゼロに近くなります。
女性は、高齢になるにつれて妊娠率が低くなる上に流産率は高く、出生する赤ちゃんの異常も少なくありません。
■寿命が延びても生殖年齢は同じ
40歳を過ぎて出産した芸能人の報道などを聞いて、「自分もまだまだ大丈夫」と考えている人が多くいます。
男性の場合は、生殖年齢の明確な〝限界〟が分かりづらいですが、女性の場合は40歳を過ぎると急激に可能性が低くなります。
これは人生50年と言われた時代でも、女性の平均寿命が80歳を超えた現代でもほとんど変わっていないとされています。
■女性の晩婚化も要因の一つ 年齢と卵巣機能の関係理解して
35歳を過ぎて結婚、その後1~2年経過して妊娠しないため病院を受診して不妊症と診断され、そこで初めて高齢女性の妊娠率が低いことを聞かされて愕然(がくぜん)とする―という人が後を絶ちません。
現代社会は仕事を持つ女性が多く、晩婚傾向にありますが、加齢に伴って卵巣機能があまり低下すると、体外受精などの高度な不妊治療を行っても妊娠に至らない可能性があるということを十分理解していただきたいと思います。
2014-05-28 19:10:44
コラム