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一般不妊治療
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一般不妊治療

33歳結婚3年目です。なかなか妊娠せず産婦人科で指導を受けてタイミング法を6ヶ月間試してみましたが妊娠しません。今後どのような治療を受けたらよいでしょうか?
まず充分な不妊原因検索が必要です。排卵チェック、ホルモン検査、感染症検査、卵管通過性検査、精液検査などをおこない問題が見つかれば対処が必要です。
フーナーテスト(性交当日か翌日に子宮の入り口の粘液を顕微鏡で見て、運動精子が認められるかを調べる検査)も妊娠しやすさの指標になります。フーナーテスト不良や精液検査不良、あるいは原因不明でもなかなか妊娠しない場合は人工授精(洗浄精子の子宮内注入)を5~6回試してみるとよいでしょう。
もしそれでも妊娠しない場合は腹腔鏡検査で隠れた病変がないか調べて対処するのが有効な場合があります。
治りにくい不妊原因が持続していたり、原因不明でも各種治療が無効だったりした場合の最終的治療は体外受精です。体外受精は排卵直前の卵子を取り出し精子と受精させて受精卵をつくり、2~5日間培養液という薬の中で発育させた後子宮に戻す方法です。タイミング法や人工授精と比べて、受精したか否かや受精卵の発育がよいか否かまで判定できるので妊娠できる能力についての多くの情報が得られます。
1回あたりの妊娠率は全国平均で約25%で他の方法よりはるかに高率に妊娠が期待できます。いずれにしても医師とよく相談し納得しながら検査・治療を進めていく事が大切です。
片方の卵管が詰まっていると診断されています。自然に妊娠できるでしょうか?
片方の卵管が閉塞していても、もう一方の卵管が正常に機能し、そちら側の卵巣からの排卵をうまくキャッチすれば妊娠する可能性はあります。
しかし卵子をキャッチできる確率は減りますし、片方が卵管閉塞の場合は反対側の卵管にも癒着や狭窄が起こっていることも多く、妊娠の可能性は低くなってしまいます。
治療としては、まず通水などを行いつつ一般治療、次に腹腔鏡検査をして、可能なら癒着剥離や卵管形成手術、それでも妊娠しない場合の最終的治療は体外受精となります。
半年前に卵管造影をしました。先日内科でお腹のレントゲンを撮ったところ骨盤内あたりに造影剤の陰が写っていると言われましたが、造影剤はそんなに長期に残留するのでしょうか?
造影剤には排泄の早い水溶性造影剤と、排泄の遅い油性造影剤があります。
子宮卵管造影を行った後、卵管から腹腔内に流れていった造影剤は、油性造影剤の場合なら6ヶ月以上腹腔内に残留する事も珍しくありませんが特に体に害はありません。
しかし、子宮や卵管の中にいつまでも残留しているようであれば病的な状態(狭窄や閉鎖によって造影剤がそこから出られない状態)があると考えられ、妊娠しにくい可能性があります。
排卵日あたりに基礎体温が下がらないのですが異常でしょうか?
排卵のころ基礎体温が下がるというのはほとんどあてにならないと考えていただいて結構です。
排卵が起こると卵巣から黄体ホルモンが分泌され1~2日して高温期になります。
高温期とはその人の低温期の平均から0.3℃以上上昇した場合を言います。
したがって、基礎体温を見て過去にいつ頃排卵があったかは推定できますが、いつ排卵が起こるかを正確に推定するのは不可能で、他の方法(超音波検査や尿中LH検査)に頼らざるを得ません。
排卵の頃3日ほど出血があるのですが異常でしょうか?
生理以外の出血ですから異常出血ではありますが、いつも排卵の頃出血するのであれば排卵時出血で必ずしも異常とは言えません。
排卵時出血は排卵の時期に卵胞ホルモン(エストロゲン)が一時的に減少するために起こります。
しかし念のために他の異常がないかは調べておいた方がよいでしょう。
21歳未婚ですが、生理不順で基礎体温がほとんど低温で時々出血があります。多嚢胞性卵巣と診断されています。放置していてよいでしょうか?
若くても生理不順の方はたくさんいます。
一番多いのは多嚢胞性卵巣という、小さな卵胞(卵子の入った袋)が卵巣内にたくさんできるのに排卵できるまで卵胞が成熟しにくいため排卵が起こらず生理不順になる一種の病気です。
軽い排卵誘発剤内服で排卵する人もあれば、内服では効かず排卵誘発注射でなら排卵はするが卵巣過剰刺激症候群(卵巣が反応しすぎて腫れ上がり痛くなったり、腹水がたまって苦しくなったりする状態)を起こす人もあり、程度は様々です。しかし何らかの方法で大部分の人は妊娠に至ります。
未婚の場合は軽い排卵誘発剤を用いるか排卵を目的とせず女性ホルモン剤で定期的に生理を起こすのみの治療が多く行われています。
不妊症の治療は個人病院でも大丈夫なのでしょうか?
大病院では妊娠、出産、腫瘍の治療などに力を入れていることが多いため、産婦人科の患者数が多いかもしれませんが、個人病院でも大がかりな手術設備や診断装置がなくても治療できるため、不妊症の治療は大病院よりむしろ個人病院で盛んに行われています。
しかも個人病院の方が一人の医師が継続して診察できたり、小回りが利いたりとメリットも多く、成績が良好な場合もしばしば見受けられます。
ダイエットをしたせいか生理が来なくなってしまいました。
若い女性にしばしばあることですが、ダイエットで体重が減りすぎてホルモンの分泌が悪くなり生理が来なくなることがあります。急激な体重の増減は生理不順のもとです。
排卵できる力が消失したわけではないので、大体は排卵誘発剤で排卵は起こせますし、妊娠もできます。しかし、一番よい解決法は徐々に普通の体重に戻すことです。
自然の排卵が復活するまで数年かかることもありますので根気が必要です。
すぐに妊娠しなくてよい未婚の人などは、その間は女性ホルモン剤で排卵のない定期的月経を起こした方が体調を維持する上でもよいでしょう。
ただし、単なるダイエットではなく拒食症の傾向があれば一度専門医を受診することをお勧めしています。
不規則な勤務体制で仕事をしていますが基礎体温はどうやって測ればいいのですか?
基礎体温は朝起きてすぐ体を動かす前に測るのが基本ですが、不規則な生活でしたら5時間以上睡眠をとった後で測ってください。
基礎体温を測るために生活パターンを変える必要はありません。
基礎体温は排卵の様子を知る重要な手がかりですが、体調にも左右されるのできれいなグラフにならないこともしばしばですが、あまり一喜一憂しないでください。
フーナーテストが不良なのですが?
フーナーテストは性交渉をもって数時間後~数十時間後に子宮頸管粘液を採取しその中に運動精子がいれば子宮内に精子が進入し妊娠の可能性があると判定する検査です。
結果不良の場合は①排卵直前でないか、薬の影響などで頸管粘液そのものが少ない②精子自体が少ないか運動が悪い③女性が抗精子抗体を持っている(いわゆる相性が悪い)ため頸管内で精子が動けなくなった④性交渉から検査まで時間がたちすぎている、などが考えられます。
①④なら再検査して再考、②なら人工授精か体外受精、③なら体外受精という方針になります。
しかし、いずれにも当てはまらず苦慮しているうちに自然妊娠するケースもあり、誤差が生じやすい検査であるので繰り返し行うことが必要と考えます。
卵胞期の血液検査で必要なホルモンの値が平均の半分以下だと言われ、自然妊娠は難しいと言われていました。その後他の病院へ移り、黄体期の検査のみで「値はよいので問題ないです」と言われました。卵胞期の血液検査はしておらず、どちらの先生の言うことを信じればよいのか迷っています。
卵胞期の血液検査はおそらくエストラジオール(卵胞ホルモン)で1成熟卵胞あたり200pg/mlくらいでOKとされていますが、充分成熟した卵胞(18mm以上)があり、排卵を開始していない(LHがまだ放出されていない)という条件で判定しなければ不正確です。実際には判定は難しいことも多く、また月によって良かったり悪かったりで、妊娠しにくいという根拠にはなりにくいと思います。何度測っても不良なら、確かに卵巣機能が悪いのでしょうが、その場合でもクロミッドやホルモン注射で改善出来ることが多いと思います。
黄体期のホルモン(プロゲステロン)は着床の準備と関係していますので重要です。私は卵胞ホルモンより、黄体ホルモンの方が妊娠しやすさと関連すると思っています。しかしそれもホルモン注射などで改善可能です。検査を受けて異常値が出たらどう改善するかを相談してみてください。
結婚して1年3ヶ月、31歳です。3ヶ月ほど排卵検査薬を使いながらタイミングを合わせていますが妊娠しません。検査すべきでしょうか?結婚時の検査で子宮筋腫(小さいものが2~3個)あることがわかりましたがMRIの結果、妊娠・出産に影響はないと言われました。筋腫は不妊の原因になりますか?
1年以上妊娠に成功しないのでしたら病院を受診することをお勧めします。排卵、卵管、精子、ホルモンなど基本的なことをまずチェックしてみたほうがよいでしょう。子宮筋腫はよほど大きいか場所が悪い(卵管を圧迫するとか、子宮内腔を変形させているとか)場合でなければ影響は少ないと考えられます。子宮筋腫を切除した方が妊娠率が向上するという研究もありますが、実際には大きな問題になると考えられる時のみ切除手術を行っているのが現状です。
肥満は生理不順や不妊と関係ありますか?身長155cm、体重72kgです。
肥満は生活習慣病と不妊リスク高める「妊娠しやすい体づくり」を

肥満には皮下脂肪型肥満(お尻や太ももに皮下脂肪が付くタイプ)と、内臓脂肪型肥満がありますが、特に内臓脂肪型肥満が問題です。内臓脂肪が蓄積すると、インシュリン(血糖を調節するホルモン)の働きが低下し(インシュリン抵抗性)、糖代謝異常や糖尿病、脂質代謝異常(高コレステロール血症)、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病(メタボリックシンドローム)が発生するリスクが増加します。インシュリン抵抗性は同時に卵巣の働きを悪化させ、排卵障害、卵子の質の低下、流産率の増加等を引き起こすため、妊娠の邪魔をします。

肥満の目安はBMI(体格指数=体重(Kg)÷身長(m)×身長(m))で、BMIが24を超えると不妊や妊娠中の異常発生が増えてくるとされます(理想は22)。質問者は身長155cm体重72kgでBMI=30.0ですので、かなり肥満と言えます。生活習慣病のリスクがすでに高まっているので、まず血糖値、血中インシュリン値、脂質、血圧等の内科的な検査が必要です。その上で少しずつダイエットをした方がよいでしょうし、場合によってはインシュリン抵抗性改善薬の内服が必要かもしれません。

このように「妊娠しやすい体づくり」をしていけば、より軽い不妊治療や、薬を使わない自然排卵で妊娠できる可能性が高くなると考えます。
子宮卵管造影検査で片方が詰まっていると言われましたが、妊娠できますか?
卵管異常による不妊が増加 体外受精が必要なケースも

卵管は左右一対ありますので、片方が閉塞していても妊娠できないわけではありませんが、片方の卵管が詰まっている女性は反対側の卵管にもしばしば異常があります。

卵管には「受精の場所」と「受精した卵の輸送」の二つの役割があります。卵管に異常があると卵子と精子が出会えない事による不妊、受精した卵が子宮まで輸送されず子宮内に着床できない不妊、あるいは受精卵が卵管内で止まって発育してしまう子宮外妊娠の可能性等が大変高くなります。

卵管異常の2大原因は「子宮内膜症」と性感染症である「クラミジア感染症」です。厄介なことに自覚症状に乏しいので検査を受けるまで気づかない女性がほとんどです。これらの病気の罹患率は最近増加傾向にあり、それに伴い卵管異常による不妊も増加しています。

閉塞していない方の卵巣から排卵する周期にタイミング法か人工授精(洗浄濃縮した精液の子宮内注入)を行っても妊娠不成立なら、手術により卵管の再建を図ることもあります。しかし、手術では卵管の機能を充分回復させることが困難であったり、効果が長続きしないことも多く、近年は体外受精(卵子をとり出して受精させた後に子宮に戻す治療)によって妊娠成立となるケースが増えています。
不妊治療中ですが子宮卵管造影検査を勧められました。痛い検査は受けたくないのですが、どんな検査なのでしょうか?
卵管に関する不妊原因を検索
造影剤通過で妊娠率向上も期待

卵管の通過障害は、手術的治療や体外受精が必要となることも多い重大な不妊原因です。近年はクラミジアなどの性感染症のまん延により、ますます増加していますので、子宮卵管造影検査は必須です。簡易検査(通気検査等)では正確な情報が得られません。

方法は、月経終了後数日以内に、子宮口から器具を挿入し、レントゲン装置を用いて造影剤が子宮内→卵管→腹腔内へと拡散していく様子を調べるというものです。最近ではレントゲン透視装置を用いて動画による詳細な観察を行う方法が増えています。検査の意義は、卵管閉塞(そく)や卵管采(卵管の入り口)周囲の炎症による癒着や子宮の形態異常の有無等の、不妊原因の検索です。検査中は子宮に圧がかかるため、生理痛様の痛みが1~2分間あります。造影剤を通過させると数ヶ月に渡り卵管機能が改善し、妊娠率が上昇するという治療的効果も期待できますので、怖がらずにぜひ検査を受けることをお勧めします。

ただし、この検査で異常なしと判定されても妊娠しない場合、さらに精査(腹腔鏡検査など)するとしばしば異常が発見されることもあり、この検査で卵管周囲のわずかな異常まですべて発見できるわけではないという点は、ご留意ください。
夫がEDです。妊娠できるでしょうか?
ED治療薬を併用し人工授精

ED(勃起障害)や射精障害(勃起できても射精できない)などは糖尿病に起因するケースもありますが、EDの多くは精神的なものとされ、わが国では50歳以下の男性の5人に1人はEDとの報告があります。これらが高じてセックスレスになるケースも増えています。
現代人はストレスが多いためかEDが増えているとされ、同様の相談が多く寄せられています。近年はED治療薬が複数開発され効果を上げていますので、お試しになるのもよいかと思います。それで効果が不十分の場合にはED治療薬も併用しながら、早期妊娠成立のために排卵日にはAIH(人工授精)を試してみるというカップルも増えています。

AIHは洗浄濃縮精子を子宮の中に注入する治療法で、性交渉で妊娠に至らないカップルにもよく行われており、受精に至る確率が通常の性交渉の数倍に増加するとされています。受精するプロセスは自然妊娠と同じように卵管の中で起こりますので、受け入れやすい治療法と言えます。

「排卵日に性交渉を持たねばならない」という強迫観念から「排卵時ED」となるケースも増えています。排卵日にはAIHをすることにして、性交渉に関しては妊娠とは切り離してEDの治療をゆっくりと行うことも、お互いの納得があればよいのではないかと考えています。
不妊治療中です。以前、卵管通水検査で異常なしと言われたのに、次の病院では卵管造影で異常ありと言われました。どういうことでしょうか?
卵管が通っているか否かの検査には、次のようなものがあります。

■卵管通水あるいは通気検査
子宮内にチューブを挿入して生理食塩水または炭酸ガスを通過させて圧力を測定する方法。簡便にできますが、完全に閉塞しているか否か程度の大ざっぱな情報しか得られません。

■造影検査
子宮内にチューブを入れエックス線で観察する方法。左右それぞれの卵管の通過性や卵管周囲癒着の有無、さらに子宮の形態異常など細かい情報が得られます。卵管内部の状態の観察に向いています。通常、静止画像で判断しますが、エックス線透視装置を用いて動画で観察すると、さらに多くの情報が得られます。

■腹腔鏡検査
全身麻酔をかけて腹壁に直径2㎝程度の穴を2~3個開け、内視鏡カメラを挿入して観察する方法。卵管通過性の確認以外に卵巣周囲の癒着や子宮内膜症の有無などさらに多くの情報が得られ、原因不明不妊とされていた女性の約50%で不妊原因が見つかります。卵管内部より外表面や周囲の観察に向いています。

卵管が閉塞する2大原因は子宮内膜症と感染症(性器クラミジアなど)であり、原因により閉塞部位や癒着のパターンがさまざまですので、検査方法によって結論が若干異なる場合もあります。正確な診断のためにはいくつかの検査を行って総合的に判定することが必要と考えてください。
なかなかタバコがやめられません。女性にはやはり喫煙はよくないのですか?
喫煙で高まる肺がんのリスク 卵巣機能や胎児にも悪影響

男性の喫煙者は減っていても女性は横ばいで、20~30代の女性ではむしろ増えています。喫煙の影響は吹き出物が増えるだけではありません。非喫煙者に比べて肺がんになる相対危険度が男性で9倍、女性で13倍とはね上がり、女性の方が危険です。

妊娠中の喫煙では、子宮内の血流不全を招き、赤ちゃんの発育が遅れて未熟児になってしまう可能性、乳幼児突然死症候群の可能性が高まります。また妊娠していなくても、喫煙は子宮や卵巣の血流を悪化させ、卵巣機能や着床を障害して妊娠しにくい環境にしたり、閉経が早まり骨粗しょう症になりやすくなったりすることもわかっています。血栓症(血管に血が詰まる病気)のリスクはピルより167倍高いというデータもあります。

禁煙を始めるのは生理が終わった直後が精神的に安定していてお勧めです。禁煙すると太るというのは思いこみで、食生活と運動のバランスに注意すれば太りません。喫煙を長年続けると女性ホルモンの不足で、肌に深いシワやたるみ、吹き出物の目立つ老け顔になりやすいとされ、これを"タバコ顔"と呼ぶ専門家もいます。一卵性双胎の女性が喫煙の有無ですっかり違う顔になるというシミュレーションが、BBCニュースのサイトに載っていましたのでぜひご覧ください。
結婚して8ヶ月の36歳です。まだ妊娠しないのですが、そろそろ検査を受けた方がよいのでしょうか?
不妊症の定義は2年間妊娠できていないということです。そういう意味では、まだ不妊症ではないかもしれません。しかし1年以内に結婚後80~90%のカップルは妊娠しますので、1年間妊娠できていなければ受診した方がよいとされています。さらに35歳以上の方は、妊娠する力が低下していますので、6ヶ月で受診した方がよいという意見の専門家もいます。女性の場合、20歳の妊娠する能力を100としたら、大ざっぱに言って30歳では75、35歳では50、40歳では20、45歳では0.5くらいです。

不妊症にもいろいろな原因がありますが、子宮内膜症・卵管の閉塞・乏精子症・免疫性不妊などは、人工授精や体外受精を行えば大多数のケースで妊娠できます。しかし加齢による卵巣機能の衰えによる卵子の質の低下は、別の言い方をすれば「老化」ということですから、高度不妊治療を行っても高い妊娠率は望めないのが現状です。もちろん「卵巣年齢」が実年齢より若い場合もありますので一概には言えませんが、35歳以上で6ヶ月以上妊娠できていなければ、早めに基本的検査(基礎体温、精液検査、卵管造影検査、超音波検査、フーナーテスト=性交後の精子の進入具合を調べる検査、ホルモン検査など)だけでも受けた方がよいと考えます。
結婚後1年経っても妊娠しないので不妊症の検査を受けようと思うのですが、夫が検査を受けることに消極的です。
結婚後1年以内に約90%のカップルは妊娠するとされていますので、何らかの不妊原因がある可能性があります。実際には不妊原因は男性女性とも同程度の確率で見つかるとされていますので、ぜひご主人にも検査を受けていただくべきです。

男性はある年齢から急に生殖能力が落ちるわけではないので、女性ほど切羽詰った実感がない場合が多いのですが、女性の生殖能力は30歳代になると若干低下し、35歳を過ぎると急激に低下し、40歳を過ぎると妊娠は厳しい状況になることをよく理解してもらいましょう。検査に消極的なら、最近では不妊治療に関する多くの本や雑誌が出版されていますので、ご主人に読んでいただくのもよいでしょう。

近年、若い男性でも原因は不明ですが精液所見が世界的に悪くなっていると言われています。精子数や運動性が不良の場合には人工授精や体外受精で対応しますが、重症精子異常のケースでも1992年に顕微授精(特殊な体外受精)が開発されてからは治療成績が飛躍的に向上しています。過去にはあきらめるしかなかったケースでも大部分で妊娠可能になってきています。怖がらずに検査を受けていただきたいものです。
基礎体温で妊娠しやすい日、しにくい日が予想できますか?
基礎体温は、排卵後に起床時の体温が少し高くなるのを利用して、卵巣の働きを調べる方法です。排卵日は高温期になる直前の日とされています。一般的には基礎体温から推測される排卵日の前後3日くらいが妊娠する可能性がある時期とされ、逆に妊娠したくない人には「危険日」ということになります。

しかし、卵子は排卵後せいぜい10時間くらいしか受精できず、その後はすぐ死んでしまうことが多いと最近の研究でわかってきました。排卵が起こって黄体ホルモンが分泌されて、その後基礎体温が上昇するので、高温期になっていればほぼ妊娠しやすい時期は終わっていると考えられます。

一方、精子は卵管の中で2~3日生き続けるとされています。排卵された卵子が卵管に入ってくるのを、精子が卵管の中で待ち構えているのが最も良いタイミングとされています。したがって、最も妊娠しやすい時期は低温期の最後の3日間といえます。

しかし、基礎体温からはいつ排卵するかの未来の予想は困難で、基礎体温は後から振り返っていつが排卵日だったかを検証する手段でしかありません。排卵日に体温が少し下がるというのは嘘だと思ってください。

基礎体温はわずかな体調不良や生活リズムの違いで上下してしまうため、信用できないこともありますのでご注意ください。
年齢が気になり、妊娠可能かどうか知りたいのですが、どんな検査がありますか?
まず、基礎体温、フーナーテスト、頚管粘液検査、精液検査、卵管造影検査、超音波検査などの基本的検査を行うのですが、半数近くのカップルははっきりした異常が見つからないのが現状です。なぜかというと、卵子の質の良し悪し、卵管への卵子の取り込みや受精の成否、などの妊娠の重要なプロセスは検証する方法がないからです。これが、実際に不妊なのに「検査では悪いところはありません」と診断されてしまうカップルが大量に発生してしまう原因です。多くの場合「問題がない」のではなく、「見えないところに原因があるのだがわからない」だけなのです。特に女性が高齢の場合は、検査ではっきりした異常がなくても、加齢により卵子が老化して妊娠能力が低下しているとされています。

結局、妊娠可能かどうかは、タイミング法(排卵の時期に合わせた性交渉)や人工授精(洗浄精子の子宮内注入)や体外受精(卵子を取り出して受精させて子宮に戻す方法)を行って妊娠するか否かの結果をもって判定するしかありません。30代後半の女性の1周期あたりの妊娠率は体外受精で15~20%、人工授精で5~8%、タイミング法で3~5%程度と考えられ、かなり低下していますので早めに対処することをお勧めします。
婦人科検診で子宮筋腫があることがわかりました。妊娠しにくい影響などはありますか?
子宮筋腫とは子宮にできる筋肉のコブのことで、原因は不明です。月経過多や不妊、流産の原因になることがありますが、大多数は無症状で、30歳代の女性でも超音波検査で観察すれば10人に1人くらいは見つかります。

子宮筋腫が妊娠の邪魔をしていると考えられる場合は筋腫をえぐり出す手術(核出術)を行うと妊娠率が若干改善する、という意見が最近では有力です。特に子宮内腔に向かって突出するタイプや、圧迫により子宮内腔の変形を起こしているタイプは妊娠の邪魔をしている可能性が高いとされています。このようなケースで手術を行った場合、他に卵管や精子などに不妊原因がなければ、術後2年以内に半数以上が妊娠したという研究報告があります。

しかし子宮筋腫があっても妊娠するケースも少なくありませんので、必ず手術をしなければならないのではなく、経過を見て判断するということになります。

筋腫核出術はお腹を切って行う(開腹)方法が基本ですが、最近ではお腹に小さな穴を開けて腹腔鏡で行う方法や、お腹に穴を開けずに膣から子宮口を通って子宮内腔に内視鏡を入れて行う方法が開発され、痛みや入院期間などが大幅に改善されるため普及しつつあります。
基礎体温をつければ、排卵しているかどうか、はっきりわかりますか?
朝目覚めたらすぐ測る基礎体温の記録は、女性ホルモンの状態を知る有効な手段です。排卵後に卵巣から分泌される黄体ホルモンには基礎体温を上昇させる作用があり、排卵後は排卵前にくらべて0.3℃程度高温となります。このことから低温期の最終日が排卵日と推定されます。妊娠を希望されるカップルは排卵日あるいはその1~3日前頃に性交渉をもつと妊娠が期待できます。

しかしよく言われる「排卵直前に体温が下がる」と言うのは俗説で、いつ排卵するかの推定は基礎体温のみでは不可能であり、超音波検査や尿中ホルモン測定が必要です。

また近年、基礎体温が高温期になっても排卵していないことがあるとわかってきました。卵巣の中で発育した卵子が卵巣の中に残ったままになっている現象(黄体化見未破裂卵胞)が、不妊症女性の約20%で起こっているという報告がなされ注目されています。このような場合は不完全な排卵なので妊娠はできません。ここに基礎体温の限界があります。

本当に排卵が起こったか否か、あるいは排卵直前か否かを知るには超音波検査を何度か繰り返す必要があることを覚えておいてください。
結婚して4年ですが、子どもがいません。不妊治療を受けたいのですが、治療はつらく、数年かかる場合もあると聞き、迷っています。
4年間不妊ということは何らかの原因がある可能性が高いです。自然に任せていれば妊娠しにくいでしょう。治療はタイミング法、人工授精、体外受精と徐々にステップアップしていくのですが、妊娠までに何年もかかる人も多くいらっしゃいます。

35歳くらいから卵巣機能の衰えが加速することを考えれば、やはり早めに治療を開始することをお勧めします。
この20年で体外受精・顕微授精などが開発され、不妊治療は目覚しく進歩しましたが、すべてのカップルが妊娠できるわけではありません。その結果、重症の不妊症でも妊娠できるカップルが増える一方で、期待を持って繰り返すのになかなか妊娠できないカップルもいらっしゃるのが現実です。

半年、1年と不妊治療が続くと先がみえず滅入ってしまう人も確かにいらっしゃいます。

広い視野を持って情報を収集し、医師によく相談や質問をして納得しながら続けていくことや、お二人でよく話し合い、言われるままでなく自分たちが主体的に方針を決めていく姿勢が重要です。周囲には打ち明けにくいケースもまだ多いようですが、最近ではインターネット上に多くある不妊治療の掲示板を利用して同じ悩みを持つ人とコミュニケーションを持ち、元気を取り戻している人も大勢いらっしゃいますので試してみてください。
不妊治療をしています。人工授精にも挑戦しているのですが、なかなかできません。年齢的に限界かもしれないと思うのですが、閉経が来るまでチャンスはあるのでしょうか?
30~35歳の女性で人工授精を100人に5回まで施行した累積妊娠数は約40人です。残った60人にさらに5回人工授精しても妊娠率は低く累積で10~15人程度でしょう。しかし、40歳の女性だと妊娠できる能力は30~35歳の1/3~1/4程度に低下しています。したがって人工授精で妊娠できる確率は10回行っても累積で約20人程度でしょう。

腹腔鏡検査をして原因検索を進める手もあります。子宮や卵巣の状態を確かめて人工授精を続けるか、体外受精に移行するか決めるのです。本来これが正道です。しかし、早く結果を求めるのなら腹腔鏡を省略して体外受精をする手もあります。40歳でしたらチャンスはかなり減っていますので早めに体外受精を試してみる事をお勧めします。体外受精でも1回あたりの妊娠率は35歳で約20~25%(その約20%が流産)、40歳で約10%(何とその約40%が流産)で、体外受精でさえかなり確率は低いです。

これは卵子の質が加齢によって低下する為とされています。閉経年齢は平均で約50歳くらいですが、妊娠の可能性は35歳くらいから徐々に低下し、40歳くらいで非常に厳しくなり、45歳を過ぎるとほぼ不可能になると考えてください。
2人目がなかなかできません。不妊治療を受けるべきが悩んでいます。何年以上できないと治療を受けるべきでしょうか?
「1人目は簡単に妊娠したので2人目も簡単にできると高をくくっていたらなかなか妊娠しない」このようなご相談をよく受けます。

いわゆる「2人目不妊」は不妊相談の15%を占めるとされ、増加傾向です。最も考えられる原因は、高齢による卵巣機能の低下です。女性の卵巣機能は30歳頃から徐々に低下し始め、35歳を過ぎると急激に低下し、40歳を過ぎると妊娠は厳しい状況になります。それ以外にも仕事や育児のストレスからくるホルモンバランスの異常や1人目の出産で子宮や卵管に受けたダメージが原因となっている可能性もあります。1年以上妊娠しないのでしたら受診をお勧めします。

検査や治療は「1人目不妊」の場合とほぼ同じです。1人目の時も不妊治療で妊娠された方は早めの受診がよいでしょう。1人目はタイミング法でできたのに、2人目は人工授精や体外受精でやっとできたというケースもよくあります。2人目不妊には「育児の合間を縫って通院するのが大変」とか「母親仲間にも1人目不妊のグループにも入れず居場所がない」など独特の悩みがあり、ご主人はじめ周囲の理解と協力が不可欠です。子供が1人いるからまぁいいか・・・という気持ちで通院が遅れがちですが、タイミングを逃さないことが大切です。

人工授精

人工授精を受けていますが、1回目は精液量3ml、濃度4000万/ml、良好精子(高速前進精子)率30%で、2回目は精液量2ml、濃度5000万/ml、良好精子率15%でした。このまま人工授精を続けていてもいいのか不安です。
WHOが定めた精液正常基準は、精液量:2.0ml以上、精液濃度:1mlの中に2000万以上、高速前進運動精子:25%以上、高速+緩徐前進精子の合計:50%以上、形の悪い精子:70%未満です。
これらすべての基準を満たしていれば問題ないと考えますが、実際には検査の度に成績は大きくばらつきますし、濃度は非常によいが良好精子率が悪いとか、その逆とかのケースもよく見かけます。
私は人工授精の成績に大きく影響するのは、子宮の中に注入された良好精子の総数と考えています。
実際にこの考えを指示する集計結果を得ています。
人工授精では射精された精液を洗浄濃縮するので、子宮の中に注入された良好精子の総数(総良好精子数)は「濃度×精液量×良好精子率」で計算します。
集計では、総良好精子500万未満での妊娠率は約2%、総良好精子500~1000万での妊娠率は約5%、総良好精子1000~2000万での妊娠率は約9%、総良好精子2000~5000万での妊娠率は約12%、総良好精子5000万以上での妊娠率は約13%、という結果でした。
あなたの場合総良好精子は1回目4000万x3x30%=3600万、2回目5000万x2x15%=1500万です。
このように精液の成績はその日のコンディションによってしばしば良かったり悪かったりバラついた結果となります。
成績不良があまり続くようでしたら、男性不妊外来を受診するか体外受精へのステップアップを考えた方がよいでしょう。
また人工授精の項(不妊治療の話)で説明したように総良好精子数がまずまず(2000万以上)で5回以上施行して妊娠に至らない場合も何らかの方針転換(男性不妊外来受診・腹腔鏡検査・体外受精)を考えた方がよいでしょう。
人工授精でも女性の年齢と妊娠率は関係ありますか?
あります。
他の要因を排除するために、卵管に異常が無く、精液所見も良好(総良好精子数2000万以上)のカップルにおこなった成績は人工授精1回につき、21~25歳で妊娠率18%、26~30歳で妊娠率16%、31~35歳で妊娠率10%、36~40歳で妊娠率7%、41歳以上で妊娠率2%程度という研究があります。
さらに45歳以上の場合は妊娠率はほぼ0%と考えられています。
したがって女性の年齢と妊娠率は密接に関係しています。
その主な原因は卵子の老化によるものと考えられます。
私は結婚4年目です。人工授精を予定して生理14日目に卵胞チェックをしたところ、「左14mm」なので4日後にまた来院ということになり、18日目に再度卵胞チェックを受けたら、「左14mm」の卵胞が無くなり、その代わりに、「左11mm右14mm」の卵胞が見つかりました。3つも卵胞が見つかったのも、治療を始めてからは初めてでした。20日目の今日も、体温は上がっていません。卵胞は小さくても排卵するのでしょうか?排卵しても体温が上がらない事はあるのでしょうか?また、排卵していないとすれば、14日目にあった「左14mm」の卵胞はどうなってしまったのでしょうか?それから排卵期の伸びるおりもの、というものが全く出ませんが不妊の原因でしょうか?
左14mm→4日後消失で右14mm左11mmで低温、ということは既に排卵した可能性が一番高いと思います。卵胞は1日2mmくらい大きくなりますので4日間の間に20mmくらいになって排卵して見えなくなったのではないかと思います。排卵してもなかなか高温にならないこともあります。排卵後かどうかは、超音波検査で黄体が出来ているか否か、子宮内膜が黄体期様に変化しているか否かである程度わかります。
排卵は少なくとも17mm以上にならないとしないと思います。
10~14mmくらいの卵胞が排卵もせずに見えなくなってしまう事も確かにあります。前周期の名残が見えただけなのか、よくわかりませんが時に経験します。
卵胞は大抵の人は排卵直前に検査すると20mm程度のもの1個、10mm以下の発育不十分で終わるもの5~10個程度見えます。
排卵前のおりものは子宮頚管から出る透明な粘液で精子の通過性を助けるものです。自分でわからなくても出ていることもあります。いつも分泌が悪い人や、あるいはクロミッドなどの薬で一時的に分泌が悪くなっている場合は、精子の通過性が不良で妊娠しにくい原因になっている可能性があります。
クロミッド内服で排卵誘発をしています。超音波検査で卵胞が20mmになっていましたが、尿中LH検査では反応が出ません。今まで何度もこの検査をしましたがいつも反応が出ません。何故でしょうか?
尿中LH検査は尿中のLHというホルモン(排卵開始の合図)を測って排卵が始まっているかどうかを調べる検査です。反応が出始めてから約36時間後に排卵が起こるとされ、排卵予知に有効な検査ですが、反応がはっきりわかりにくいことは時々あります。
反応が強く出る時期が約半日しか無いので、1日に2~3回施行すればわかりやすいのですが1日1回しかしないとうまく反応を捕らえられない可能性があるのです。卵胞が20mmになっているのでしたら卵巣が機能しているのですから、いずれ排卵はすると思います。
排卵誘発剤(クロミッドなど)を使うと排卵時期が卵胞径25~30mmくらいの大きめにずれることが多いです。以上より排卵はもう少し遅めではないかと思います。いくら待っても尿検査で反応が出ない時はhCGの注射(LH類似のホルモン)をして排卵を開始させる方法もあります。いずれかの方法で排卵時期をはっきりさせることが妊娠への近道だと思います。
精液検査で精液が薄いと言われました。人工授精をしなければ子どもはできないのでしょうか?
人工授精は精液所見(1mlに2000万以上、運動率50%以上が正常の目安です)がやや不良のケースや、フーナーテストが不良のケースに行うと妊娠率上昇が期待できますので試してみてよいでしょう。ただし極端に精液所見不良の場合は体外受精をお勧めします。

人工授精の一般的方法は、超音波検査や尿中ホルモン検査で排卵時期を推定し、排卵直前に洗浄濃縮した精液を子宮内に注入する方法で、痛みもほとんどなく、体外受精より少ない費用でできます。子宮に注入された後、精子が卵管まで移動して受精するプロセスは自然妊娠と同じです。

精子所見が極端に不良でない場合の妊娠率は1回につき約10%です。1回失敗したカップルが2回目を、2回失敗したカップルが3回目を行うので統計的には回数が増えると妊娠率は低下していきます。5回行ったとして100人のうち妊娠に至るカップルは累計で約40人です。不成功が続くとこの方法では妊娠できない確率が上昇していきますので次のステップ(腹腔鏡検査、体外受精など)に進むことも考えなければなりません。一般的には5回不成功となったあたりが一つの区切りと考えられます。

体外受精

体外受精、顕微授精で生まれる赤ちゃんには奇形などはないのでしょうか?
体外受精でできた赤ちゃんが奇形児や先天異常児になる確率は自然妊娠と変わらないと報告されています。
ただし極端な乏精子症(射出精液にほとんど精子が見つからないレベル)の男性の精子を用いて顕微授精を行って妊娠した場合、男児には乏精子症が遺伝する可能性が示唆されています。
また多胎妊娠(双胎以上の妊娠)になると、未熟児で生まれやすくなり生まれた後の発達に異常が起こる可能性は高くなります。
体外受精の準備で高温期の途中からスプレキュアを使用しているのですがもし妊娠していたらどうしたらよいでしょうか?
スプレキュアは子宮内膜症の治療などに使う女性ホルモン分泌を抑制する薬で、体外受精の場合には勝手に排卵してしまうことを抑制するために使います。
もし妊娠中にスプレキュアを使用すると妊娠に必要な女性ホルモンの分泌が減ってしまうので流産のおそれがあります。
したがってスプレキュア使用中に高温期が14日を越えた場合は直ちに妊娠判定を行い陽性ならスプレキュアは中止してホルモン補充の注射などを行う必要があります。
このようなケースは時々ありますが、実際にはほとんどの場合妊娠は順調な経過をたどります。
体外受精の成績は女性の年齢と関係がありますか?
体外受精における、1回の胚移植あたりの妊娠率は全国平均で約25%です。
体外受精の妊娠率は受精卵の質、子宮の状態、女性の年齢に大きく左右されます。
一般に女性の年齢が上昇すると受精卵の質が低下し、妊娠率が悪化するとされています。
体外受精の妊娠率は女性の年齢が35歳あたりまでは緩やかに低下しますが、それ以降は急激に低下し、40歳では約10%、45歳では0~2%であるとされています。
しかも体外受精による妊娠の流産率は平均約20%ですが、40歳以上だと私の経験では約50%も流産してしまいます。
女性の年齢は体外受精の成績を左右する最も大きな要因であると言えます。
もし体外受精をお考えなら、なるべく35歳までに受けることをお勧めします。

感染症

クラミジアに感染しているといわれました。不妊症と関係ありますか?
クラミジア(一種の細菌)には数種類ありますが性感染症のクラミジアはクラミジア・トラコマチス感染を指します。
現代における性感染症(STD)の主要病原体で、淋菌感染症の約5倍も蔓延しているとされています。
子宮周囲の炎症や不妊の原因になったり、無治療のまま分娩すると産道感染し赤ちゃんが結膜炎(約25%)や肺炎(約15%)を発症したりします。
わが国において子宮や卵管周囲の炎症の20~30%、非淋菌性尿道炎の50%前後がクラミジアによるものです。
一般女性の15~19歳で約5%、20~24歳で約7%、妊婦の約5%、最も性活動が盛んと考えられる妊娠経験のある10代の女性では約25%が感染者とされています。
感染女性のパートナーが感染している確率は約50%です。
コンドームを使用することにより感染の予防は可能です。
診断は子宮頚管部からの菌の検出や、血液中の抗体検査で行います。
しかし、感染が子宮の奥や卵管に移動していたら子宮頚管部からは菌が検出できないという欠点があります。
また血液中の抗体検査は治癒した後も数年間陽性が続くので治癒したか否かの判定ができないという欠点があります。
したがって過去の経過などから総合的判断が必要です。
女性では黄色い帯下、性交時出血、下腹部痛など、男性では排尿痛などの症状が出ることもありますが、女性の80%、男性の50%は自覚症状がないとされています。
治療は2週間の抗生剤内服でほぼ菌が消失し炎症もなくなります。
しかし一度起こってしまった癒着や閉塞や変形は元には戻りません。
子宮内に進入したクラミジアがお腹の中まで到達するのはわずか数日とされていますので、感染した人は早期に治療したとしても卵管に何らかの異常を起こしている可能性は高いと推測せざるを得ません。
ダメージを受けた卵管は通過障害を起こし不妊原因になったり、たとえ閉塞に陥っていなくても受精卵移送障害を起こし子宮外妊娠の原因になったりしますので注意が必要です。
妊婦のHTLV-Ⅰ検査が無料化されると聞きましたが、どんな病気ですか?
白血病を発症させるウイルス
赤ちゃんへの感染阻止が重要

HTLV-Ⅰ=成人T細胞白血病(ATL)ウイルスは白血球の一種であるT細胞をがん化し、異常に増殖させて白血病を発症させるウイルスです。女優の故・夏目雅子さんやテレビコメンテーターの浅野史郎さん(元宮城県知事)が罹患(りかん)したことで有名になりました。

大人同士の感染や子宮内感染は少なく、感染している母親の母乳を飲むことにより赤ちゃんが感染するケースが大半です。したがって母親が感染者であれば赤ちゃんには母乳を与えずに完全人工栄養(粉ミルク)にするか、母乳を凍結処理してウイルスを死滅させれば、赤ちゃんへの感染はほとんど(97%)阻止できます。

全国の感染者は約100万人ですが、特に九州など関西以西に圧倒的に多く存在します。感染していても発症率は低く(毎年500人前後)、生涯発症率は約5%と低いので、大多数はウイルスと共存し白血病を発症しません。また、潜伏期間が平均55年と長いので、大人になってから性行為などで感染したケースでは発症することがほとんどないとされています。そもそも性交渉での感染自体も起こりにくく、コンドームで予防できるとされているので、最も大切なことは赤ちゃんに感染させないことです。

地域差はありますが、平成22年10月ごろより妊婦健診での検査が無料(公費)になりましたので、ぜひ受けてください。
子宮頚(けい)がんを起こすウイルスの検査があると聞きましたが、どのようなものでしょうか?
子宮頚がん起こすHPVウイルス
定期的な検診で予防が可能

わが国では毎日子宮頚がんで7人が死亡していますが、初期には全く症状がないので注意が必要です。

子宮頚がんは近年、HPV(ヒトパピローマウイルス)が性交渉により感染して生じることが判明しています。性交渉の経験がある女性の80%程度は一生のうちに一度は感染するありふれたウイルスで、感染してもほとんどは免疫の力で排除されます。

HPVには多くの種類があり、毒性の強い一部のタイプの感染が持続した場合のみ、前がん状態を経てがんになります。性交渉を持つ女性はHPVの感染を完全に防ぐことは不可能ですので、感染を発見することが重要な意味を持ちます。

従来の子宮頚がん検診(細胞診)にHPVウイルス検出検査(いずれも擦るのみの痛くない検査)を併用すると、子宮頚がんに進展する病変を見つけ出す確率が70%から95%へと飛躍的に上昇するとされています。2010年4月より、細胞診で前がん状態が疑わしいケースの一種に限ってですが、HPV検査が保険適用になり負担が減りました。

わが国の子宮がん検診の受診率は約24%で、欧米先進国(70~80%)に比べて大変低いため、予防どころか20~30歳台での発病が急増しています。子宮頚がんは防げるがんですので、ぜひ定期的に検診を受けていただきたいと思います。
子宮頚(けい)がんを予防するワクチンが承認されたと聞きましたが、どのようなものでしょうか?
子宮頚がん予防するワクチン 発がん予防、進行抑制にメリット

子宮頚がんは子宮の出口あたりに出来るがんで、子宮がんの大部分を占めます。先日40歳で亡くなった人気女性歌手「ZARD」の坂井泉水さんが患っていたがんで、日本では20~30代の患者が急増しています。


HPVには多くの種類があり、毒性の強い一部のタイプの感染が持続した場合のみに前がん状態を経てがんになります。この度承認されたワクチンを半年間に3度接種すれば、発がんの60%を占める16型、18型のウイルスに免疫ができ、発がんが予防できます。
基本的には10歳以上で性交渉のない女性が接種対象ですが、既に感染している女性にも進行を抑える効果があるとされていますので、どんな年齢層の女性でも接種を受ければメリットがあると考えていただいてよいかと思います。

ただしワクチンを接種しても16型、18型以外の毒性の強いHPVが感染した場合は子宮頚がんにかかる可能性がありますので、やはり定期的ながん検診は必要であることはご注意ください。
「子宮頚がん」はうつる病気だというのは本当ですか?
本当です。いわゆる子宮頚がんには、子宮の出口にできる「子宮頚がん」と子宮の奥にできる「子宮体がん」があり、80%は子宮頚がんです。子宮頚がんの発症の原因は、性交渉によってHPV(ヒトパピローマウイルス)が進入してくるためであることが最近の研究で明らかになってきましので、男性から女性にうつる病気であるといえます。

最近、わが国では性体験の低年齢化が進み、性交渉をもつ10代の女性の20~30%がすでにHPVに感染しています。HPVには多くの型がありますが、感染者の50%以上ががんになりやすい危険なタイプだというデータや、感染者の約1/4から異型上皮細胞(がんではないが、がんになりかけている可能性が否定できない細胞)が発見されているというデータもあります。要するに性交渉を持つ10代女性の5~10%はすでに発症予備軍なのです。症状はほとんどありません。感染者のすべてががんを発症するわけではありませんが、性交渉のある女性は若年者でもすべて子宮がん検診を受けるべきということになります。

子宮頚がんは進行していれば子宮摘出が必要ですが、初期なら子宮を摘出せずに治療可能です。それ以前に、性交渉のこのような危険をよく理解し、コンドームを使わない無防備なセックスは極力避けることが大切です。

子宮内膜症

月経痛が強く子宮内膜症と診断されています。どのような治療をしたらよいでしょうか?
本来子宮内膜組織とは子宮の内腔を覆っている粘膜組織で月経時には出血と共に剥がれ落ちる性質があります。
これと同様の組織が、本来あるべきでないところ(子宮筋層内、子宮・卵巣・卵管の中や周囲など)に紛れ込んで増殖しているのを子宮内膜症といいます。
月経時に出口のない出血が起こってしまいますので、病巣部に血が溜まって炎症を起こしたり癒着を起こしたりしてしまいます。
原因は不明で、自分で予防することは不可能です。
症状は月経痛、腹腔内癒着による痛み、卵管性不妊(炎症で卵管閉鎖・癒着などが起こるため)などですが、自覚症状がほとんどない方もよくいらっしゃいます。
性交痛は子宮内膜症の場合もありますが、その他の病気の場合もありますので注意が必要です。
性器クラミジア感染症と並んで子宮外妊娠を誘発する2大原因のひとつです。
診断は多くの場合腹腔鏡などによる直接腹腔内の観察が必要です。
病変が点状に散在する軽症例から、広範囲に炎症があり卵巣・卵管が子宮と腸の間に埋没して原形をとどめない重症例まで程度は様々です。
レントゲン検査や超音波検査では癒着の程度は詳しくはわかりません。
治療は、軽症なら腹腔鏡下に焼灼し重症なら開腹手術で病巣を切除します。
卵管に問題が起こっている場合、妊娠のためには手術療法(腹腔鏡手術など)か体外受精が必要です。
卵巣チョコレート嚢腫(卵巣の中にチョコレート色の古い血液が溜まったもの)なら穿刺吸引・アルコール注入や手術的切除などを行います。
進行を抑える治療として薬物療法も一時的には有効です。
妊娠・出産を経験すると多少軽減することがあります。
いずれにしても一時的には改善してもしばしば再発し、完治は難しい病気です。
軽症でも不妊原因となり多くのケースで体外受精が必要となっています。
体外受精を行うと子宮内膜症による卵管癒着や閉鎖があっても妊娠が可能です。
しかし子宮腺筋症(子宮の筋肉の中に子宮内膜症ができたもの)では着床障害を起こしやすいことも指摘されています。

妊娠初期

薬は妊娠初期には赤ちゃんに影響があるのでしょうか?
排卵後19日間は赤ちゃんの臓器は形成されていませんので奇形などの影響はないとされています。
排卵日がはっきりしていれば計算してみてください。
それ以降の時期に内服したり注射したりした場合は薬の種類によっては影響が心配されるものもあります。
どんな薬をいつ使用したかを正確に把握してから医師に相談してください。
月経予定日頃少し出血が始まり少量のまま持続しています。基礎体温は高温のままです。妊娠でしょうか?
高温期が14日を越えている場合は妊娠の可能性があります。
体温が下降気味に見えても妊娠していることがあります。
妊娠していても月経予定日あたりに少し出血があることはよくあります。
いずれにしても妊娠検査を行うことが必要です。
市販のものでも構いません。
妊娠反応が陽性で出血があれば切迫流産ということになりますので病院を受診してください。
妊婦は葉酸のサプリメントを飲んだ方がよいというのは本当ですか?
葉酸は胎児の神経発達に不可欠
妊娠1ヶ月以上前から充分摂取を

葉酸はほうれん草の抽出物に含まれる水溶性のビタミンB群の一種で、細胞分裂には不可欠な栄養素です。胎児の細胞分裂が活発な妊娠初期に葉酸が不足すると、無脳症や二分脊椎症(※)などの病気の発症が増加すると言われています。

(※注)二分脊椎症:胎児期の脊椎骨の形成不全が原因で起こる先天異常。重症の場合は、脊椎の管の中にあるべき脊髄が外に脱出して下半身の神経麻痺を起こすことがあります。

おやこ手帳にも2000年以降、これらの病気の発生予防のため、葉酸の必要性(1日に400μg)が記載されています。しかし日本での葉酸の必要性や認知度は海外に比べてまだまだ低く、最も摂取が必要なはずの妊婦さんでさえ9割以上が葉酸不足という調査報告もあります。
葉酸の含有量が多い食物は鶏レバーやほうれん草などですが、葉酸は熱に破壊されやすいため、サプリメントからの摂取の方が有効です。

さらに重要なことは、ほとんどの女性は妊娠に気づいてから産婦人科などで葉酸のことを知って栄養管理を始めるのが現状ですが、実はそれでは手遅れなのです。妊娠初期に充分な血中濃度になるには、妊娠の1ヶ月以上前から十分な葉酸を摂取する必要があります。したがって妊娠を考えている女性は常に葉酸の入ったサプリメントを摂取しておくことが大切です。

流産

妊娠6週です。3日前から性器出血があります。入院が必要でしょうか?
妊娠していて性器出血または子宮収縮または下腹部痛がある場合、あるいは超音波検査で異常を認める場合(子宮内血液貯溜など)は切迫流産(流産の危険がある)と診断され、治療の対象となります。
治療は安静および薬物治療です。
症状が強い場合は入院安静の方が安心な場合があります。休日や夜間などでもお電話くださればいつでも対応いたします。
当院は入院設備がありませんので、入院の場合には提携病院にご紹介いたします。
実際には妊娠初期に流産するか否かは受精卵の良し悪しによってほとんどが決定されると考えられています。
安静にすることは大切ですし自宅で安静に出来ないのでしたら入院もよいでしょうが、症状が軽い場合は入院安静でも自宅安静でも結末にあまり関係ないと考えられます。
出血がなくても流産することがありますか?
まず流産とは何でしょうか。
昔、超音波検査が発達してなかった頃は妊娠初期には胎児が順調に発育しているか否かは判定困難でしたので、発育がストップして2~3週間して下腹部痛と子宮出血を起こして赤ちゃんや胎盤が押し出されることが流産でした。
したがって下腹部痛や子宮出血は流産の前兆と考えられてきました。
しかし、今では超音波検査で妊娠初期から赤ちゃんが順調に発育しているか否か判定できるようになり、順調に発育していれば多少の性器出血があっても流産する確率は低く、発育が予定より1週間以上遅れたりストップしていたら症状が無くても流産する確率が高いことがわかってくるに従い、切迫流産の概念も以前とは変わってきています。
したがって出血がなくても流産という診断となることは充分ありえます。
妊娠7週で赤ちゃんの心臓の動きが見えないので流産の可能性が高いと言われましたがそうなのでしょうか?
現在は経腟超音波検査や尿中ホルモン検査が発達して妊娠初期から多くの情報が得られるようになりました。
妊娠4週には尿中hCGというホルモンが検出され(いわゆる妊娠反応)、妊娠が判定されます。
妊娠5週頃には尿中hCGは約1000単位/Lに達し、経腟超音波検査では子宮の中に胎嚢(羊水が入った袋)が観察されます。
妊娠5週の半ばには胎嚢の中に卵黄嚢という栄養の入った袋が観察されます。
妊娠6週頃には赤ちゃんの心拍が観察されます。
排卵日がはっきりしていれば、このスケジュールは大きく乱れることはないので、1週間以上遅れているか途中でストップしていれば赤ちゃんの発育が止まっている可能性が高く、流産が強く疑われます。
妊娠6週で子宮外妊娠の疑いと言われましたが痛くないこともあるのでしょうか?
ひとつ前の質問でも答えた様に排卵日がはっきりしていれば妊娠初期のスケジュールは誰でも同じはずです。
妊娠6週で尿中hCGというホルモンが1000単位/L以上に達しておりどこかで受精卵が発育しているはずなのに、経腟超音波検査では子宮の中に胎嚢(羊水が入った袋)が観察されない場合は、子宮の中ではないところ(多くは卵管の中)で受精卵が発育している可能性があり、すなわち子宮外妊娠の可能性があるということになります。
卵管の中で妊娠している場合は超音波で見えにくいので、卵管の腫れが判定できることもできないこともあります。
子宮外妊娠で卵管が破れて腹腔内出血が起こると激しい腹痛がありますが、腹腔内出血がない場合は殆ど痛くありません。
ただし今後痛くなる可能性があるので充分な注意が必要です。
流産後は次の妊娠まで何ヶ月あければよいのですか?
2回生理がくれば妊娠してもよいというのが妥当なところだと思います。
1回も生理がこないまま妊娠して順調に経過したケースもありますので、すぐ妊娠したから悪いとはいえませんが、普通は少し安定してからの妊娠をお勧めします。
今までに3回流産して一度も出産に至りません。どうしたらよいでしょうか?
連続して3回以上流産したら習慣性流産という病名になります。
流産そのものは誰にでも一定の確率(5~10%)で起こり得ることで、原因として一番頻度が高いのは受精卵自体の異常(染色体異常など)で女性が高齢になるほど頻度が高くなるとされています。
しかし3回以上続けて流産した場合は母体の方に隠された病気がないか否か調べてみる必要があります。
免疫検査(抗リン脂質抗体など)、血液凝固機能検査、内分泌検査(女性ホルモン、甲状腺ホルモンなど)、血糖検査、感染症検査、子宮の形態異常の検査、さらには夫婦の染色体検査などです。
原因不明の場合も多いのですが、原因によって薬物(低用量アスピリン、ヘパリン、漢方薬など)療法、リンパ球療法などが有効です。
妊娠に気がつかずに胸部レントゲン検査(エックス線検査)を受けてしまいました。赤ちゃんに影響がありますか?
エックス線検査による胎児への影響被曝線量少なく、ほぼ心配なし

放射線被曝(ばく)の影響を考えるときは、正確な被曝時期(妊娠週数)と被曝線量の確認が必要です。受精後10日目までの被曝では、胎児形態異常は自然発生率(2~4%)より増加しません。ただし大量被曝の場合は流産の可能性があります。受精後11日目~妊娠10週まで(器官形成期)の被曝では、胎児形態異常を増加させる可能性がありますが、100mSv(ミリシーベルト)未満では影響しません。妊娠10~27週での被曝は、中枢神経障害を起こす可能性がありますが100mSv未満では影響しません。

レントゲン検査で胎児が被曝する線量は、大きく見積もっても胸部単純撮影で0.01mSv以下とほぼ問題はなく、下部消化管造影(大腸エックス線造影検査)で24mSv以下、骨盤部CTで79mSv以下ですので、影響は無視できるレベルです。その他の被曝の影響として小児がんの発生増加がありますが、もともと低い発生率(0.2~0.3%)なので、わずかに上昇しても、それほど心配するレベルではありません(10mSvの被曝で約1.4倍、100mSvで約3倍)。とはいえ余計な心配を避けるため、エックス線検査は排卵前(月経開始から10日以内が目安)に受けるように充分注意を払ってください。

(注)1mSv=0.001シーベルト=1000マイクロシーベルト
結婚後すぐ流産し、その後1年経ちますが妊娠しません。不妊検査を受けようかと思っていますが、受診の準備やタイミングについて教えてください。
不妊検査は事前の準備が大切
受診時期は病院に問い合わせを

不妊原因は男性女性とも同程度の確率で見つかるとされていますので、ご主人にも検査を受けていただいた方がよいのですが、とりあえず初回は奥さまのみの受診でもよいでしょう。

初診の際には今までに経験した病気のこと(既往歴)、現在服用中の薬の有無、血縁者の病気(家族歴)、アレルギー、月経周期(月経歴)、妊娠歴、現在気になっていることなどについて聞かれると思いますので、正確に答えられるよう準備しましょう。特に月経歴(月経周期の状態や月経痛・過多月経の有無など)、妊娠歴(妊娠年月日、不妊治療の有無、出産・流産・子宮外妊娠などその結果、週数、児体重・異常の有無など出産の経過、あるいは流産した場合どの段階の流産か、胎児心拍が確認できていたかなど)、産婦人科での検査歴(子宮頸(けい)がん、性感染症、不妊検査など)は詳しくまとめておきましょう。また、基礎体温の記録は参考になるので少しでもあれば持参しましょう。

受診するタイミングは、できれば生理中あるいは排卵直前などが卵巣機能を調べる検査に適した時期ですのでよいと思いますが、事前に受診する病院に問い合わせてから受診するのもよいでしょう。

業務に関する事項

体外受精関連費用を銀行振込した場合、領収書が発行されないのはなぜでしょうか?
税法上、金融機関の振込明細書が領収書として認められているため、当院では基本的に領収書を発行しておりません。特定不妊治療費助成の申請に際しまして、現在のところ岡山県では領収書添付の必要はございません。また、確定申告における医療費控除の申請に関しましても、2017年より領収書の提示または提出が不要となっております。ただし、税務署が必要に応じて領収書の提示または提出を求める場合がありますので、振込明細書も確定申告期限等から5年間はご自宅等で保管していただきますようお願いいたします。
万が一、振込明細書の紛失や自治体の要求などで当院発行の領収書が必要な場合には、切手貼付・宛先記入済みの封筒を当院まで郵送していただくか、事前に電話連絡のうえご来院いただければ対応いたします。
なお、高額療養費申請に関しましては自由診療分は対象外であるため、体外受精関連費用は適応となりません。

その他

なぜ妊婦は重い物を持つといけないのですか?スーパーなどで買い物したりした時に、重い物を持ったり、会社でも重いファイル等持ってしまったりしているのですが、胎児と何か関係があるのですか?
妊婦が重いものを持つと子宮の収縮を起こしたり(周期的な痛みを感じる事もあります)、腹圧により子宮口が開く方向に力がかかったりして早産の誘因となる可能性があります。子宮収縮は他にもちょっとした緊張(車の運転、精神的ストレス)、子宮の細菌感染などでも起こります。特にハードに働いている人には、自覚症状が無くても機械で測定すると周期的な子宮収縮がよく見つかります。また子宮の出口の筋肉の強さは個人差があり、子宮収縮がほとんど無くても重みに耐えきれず、すぐ早産になってしまう人もいます(子宮頚管無力症)。ちなみに、短距離選手のアッシュフォード選手(フローレンス・ジョイナーの前の100m世界記録保持者)は世界記録を出した時は妊娠中だったそうです。つまり筋肉の強さや痛みの感じ方は個人差が大きいですが、無理をしない方がよいと言えると思います。
出産予定日はどうやって決めるものなのですか?
また里帰り出産は出産のどれくらい前に帰ればいいのか教えてください。
出産予定日は妊娠40週0日の事です。最終月経開始日を妊娠0週0日にして計算するのが一般的ですが、排卵日がわかればそこを妊娠2週0日にして修正したり、妊娠10週くらいまでの超音波検査で胎児の大きさから修正したりしたらさらに正確になります。妊娠週数が確定したら、妊娠40週0日(予定日)が決まります。一度決めたら変更しません。それを元に計算して胎児の発育がよいか悪いかを検討します。分娩は妊娠37週0日から41週6日の間に生まれたら普通の時期に生まれた(正期産)ということになります。里帰りは34~35週くらいで帰ることが多いですが里帰り先の病院と相談してください。
赤ちゃんは子宮の中で音が聞こえると言いますが私の声がわかるのでしょうか?もし聞こえるのならこの記憶は産まれてから残るものなのでしょうか?話し掛けると胎教に良いというのは本当ですか?
妊娠6ヶ月頃から胎児は耳が聞こえるとされています。ただし羊水の中なのでプールの中で音を聞くような感じで識別はしにくいと思いますが。胎児期に聞いた音楽を覚えていると言った有名な音楽家がいますが本当か否かは確かめる方法がありません。しかし妊娠末期に子宮の辺りに機械を当ててブザーを鳴らし胎児の反応を見る医療機器がありますから聞こえている事は間違い有りません。
「胎児は見ている(T.バーニー著.祥伝社)」という本には胎児期に一番よく聞くのは母親の鼓動なので、生まれた後泣いている赤ちゃんに心臓の音をテープで聞かせると泣きやみやすいことや、胎児はビバルディ、モーツァルトなど軽やかで明るい音楽を聞くとおとなしくなり、ベートーベン、ブラームス、ロック音楽など激しい音楽では暴れ出すことが紹介されています。
母親の感情の起伏がホルモンを通じて胎児に影響するという説も書いてあります。この本は医学論文形式のデータは紹介されていませんし、不明なことだらけではありますが、胎教と称して穏やかにお腹の赤ちゃんに話しかけることには赤ちゃんにも、母親の母性が芽生えるためにも何らかのよい影響があるのではないかと、私個人は思っています。
ピルで生理痛が軽減するというのは本当ですか? ピルの長所と短所を教えてください。
ピル(経口避妊薬、OCともいいます)は、排卵を抑制して妊娠を阻止する薬です。長所は、きっちり内服すればほぼ100%避妊できる点です。わが国での避妊法の主流であるコンドームは失敗が多く、避妊率は90%程度とされていますので、ピルは理想的な避妊法といえます。

ほかにも、女性が主体的に避妊できる、生理痛や過多月経が軽減する、月経周期が安定する、男性ホルモンの減少によりニキビが改善するなどの副効用もあります。実際にピルを飲んでいる女性の50%以上は副効用を目的に飲んでいるというデータもあります。それほど高価でないことや、卵巣がん・子宮体がんなどのリスクが減少することも利点です。生理があるすべての年齢で使用可能です。

一方、短所は、吐き気や不正出血が時々起るという点ですが、普通2~3ヶ月で起こらなくなります。15年以上内服すると乳がんの発生が若干増加する心配がありますので検診は必ず受けましょう。また、喫煙者、高血圧などの人は注意が必要です。

ピル利用女性はアメリカ15%、EU17%に対し、日本ではまだ0.9%ですが、徐々に増えています。しかし、性感染症を防ぐためにはコンドームを併用する必要がある点だけは、絶対に忘れないでください。
娘が高校生なので子宮頚がんワクチンを受けさせようと思うのですが、メリットとデメリットを教えてください。
子宮頚がんを発症するウイルスは種類が多いので、ワクチンが全てのタイプに有効ではありませんが、20~30歳台の女性では約70~80%の子宮頚がんを防げるとされています。
副作用としては、接種部位の疼痛(99%)、疲労感(58%)、筋痛(45%)などがあります。重篤な副作用(悪心嘔吐、失神、足がしびれる等の神経症状やアナフィラキシーショック)は、多く見積もっても接種回数10万回につき3.5回程度とされています。
詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
 
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